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August 17, 2015

ミラーレスの時代はあとわずかで到来

最近ロバート・キャパの事を少し書いたが、彼が戦場にライカを持ち込んだことは誰でも知っているし、恋人のゲルダ・タロはローライフレックス(2眼)だったので、いまではこの二人のキャパが峻別できるし、一説にはゲルダの方か上手だったなんて言われている。

多分、カネが無くてゲルダはライカが使えなかったのじゃないかな、なんて、Capaの戦場写真集のスクエアとパーフォレーションが写っているのと両方掲載されているのを眺めながら、ゲルダのあまりにも若すぎる死を今更に嘆いたり、ちょっとセンチメンタルな気分に浸っている。

木村伊兵衛がニコンFの発表会で、「僕はライカがあるから、要らないな」と強気を言ったという伝説があるものの、「Nikon F」によって、世の中のカメラは一眼レフ全盛の時代が始まった。そういう僕は時代が違うのでF2からの参加だったのだが・・・。基本的にF2はマイナーチェンジのモデルで、フォーカシングスクリーンも共用だったし、アイレベルファインダーもFのが付けられた。その時はNikonのロゴ(Fではボディに看板の様に貼り付けわれてた)が無くなって初代無印ニコンになったり、ただちょっと違うのは、レリーズの位置がSP時代のヘンテコな位置から正常な場所に移動したこと、シャッターが1/2000まで高速化したこと、巻き上げノブにモールドが付いたことなど些細な変更だけだった。このF2は未だに動く。ただし、電源がボディーにあるので、接触不良が甚だしい事や、CDS受光素子が死んでいるのでTTL測光はもう出来ない。

これから50年間、「一眼レフ」というのは巷間高性能カメラの代名詞にもなった。

そして、21世紀になり、オリンパスとパナソニック陣営のm43のフォーラムがその基本仕様を発表した。
僕はその後の10年足らずでカメラがこれほど変化するとは予想もできなかった。m43は43のサブセットとしか思わなかったのだが、今では43そのものはほゞ無くなってしまった。

でもm43は何故だか、とても気になるカメラだった。
で、パナ、オリ何れも初代(G1 E-P1)から使ってきた。初期のm43は悪い事ばかりで、今とは比べようが無かった。ファインダーは荒いし、見づらい、遅い、シャッターラグも甚だしい。とても、一眼レフの敵とは思えなかった。一番酷いのは、ライブビュにラグがあることで、過去を見てシャッターを切るという凡そ馬鹿げた仕様になっていたので、とてもプロユースの様な過酷な場面では使えないと信じていた。
それにも増して、このフォーマットは一眼レフイメージサークルの1/2の直径と定義したものだから、被写界深度が約2段分深い。パンフォーカスといえば聞こえが良いが、レンズがその割に明るくないので、ボケないレンズばかりで、日本人好みのBokehには向かない仕様だと思った。

この問題は、その後APS-C機が出てきたり、SONYが立派なフルサイズを出すことで、近年克服しつつある。ようは、目的次第で判を使い分ければよいのだ。

しかし、今なおデジタルカメラの時代は未だにムーアの法則が支配していることが明らかで、数年前と比較して今日のミラーレスの「進歩は長足」の一言で云い切れる。

ミラーレスの最大の困難だったLVのラグの解決は徐々にではあるけど進んでいるし、これは、プロセッサの処理速度の問題なので時間が解決するだろう。

また、当初致命的と思われたレリーズ・ラグ問題は電子シャッターの採用で殆ど何らの問題も無くなってきた。ミラーレスはレリーズしてからもう一度シャッター・チャージ動作があった(ある)ので、異常に反応が遅く、動きものは殆どダメと思った時もあった。


そして、最大の課題だったものがアドバンテージに変化したのはEVFの進歩ではないか。

初期のEVFはオマケの様な存在だったが、今日の最新型では光学式を上回る特性が目を引く。

たとえば、ファインダー倍率・・・これは伝統的に約0.7倍が基準になっている。このもともとは、RF式の広角28mmまでを許容するモデルが一般的だったことを踏襲した数値だったに違いないが、そのほかの理由としては、一眼レフは曇りガラスに像を写すので致命的にファインダー像が暗い・・・、これをコンペする方法が倍率を下げて光度を上げるという事だったに違いない。それにより、スプリットレベルなどの合焦機構の絞り値への寛容度も増した事だろう。

もちろん、肉眼の精細に見える領域からしても、フルサイズの0.7倍近辺は見やすい倍率という理由もあるに違いない。

(0.7倍の定義は50mmレンズを装着したときの視野角で・・・これは判が小さくでも50mmの場合を表記するので訳が分からない人が大勢いる事だろう)

今日なおフルサイズカメラでも0.7倍台が受け継がれてるのも同じような原因があるからだろうし、一方で安いAPS-Cでは0.9倍(50mmレンズ使用時)とやや倍率が小さいにも関わらず、廉価版ではプリズムを省いていることもあって、とても暗いし、小さくてMFが遣り難いなんてことがあたりまえになっている。APS-CカメラでMFがやり易いと思ったのは、正直シグマのSDシリーズだけだ。(理由は不明・・・ながら、一般のデジタル一眼のファインダーがほゞ素通しの様なつくりに成っているのに比べると、シグマのは旧式のすりガラスの色相が強いのかもしれない)

いずれにせよ、自然光を覗くという、一眼レフカメラのファインダーは小型センサーには向かないことが明らかになってきた。まして、AF式一眼レフのミラーは所謂ハーフミラーに近い。このことをあまり気にしない人が多いのは、撮影時にはミラーは跳ね上がっているので関係ないからだ。
ハーフミラーに近いという事情は、構造図を見ればすぐにわかるが、AF機構が、ミラーの下に装備されているために、一種の漏光が必要だからだろう。

小型センサーでは一眼は使えない・・・この傾向は、1/2インチ管式videoカメラの一眼レフを使ったことがある人ならば、ピンと来るはず。1/2インチ管カメラでは明るさを出すためにすりガラスが殆ど素通しに近くでピントが出せなかった。で、プロ仕様のビデオカメラは何十年も前から既にEVF(モニター)が当たり前だった。

一眼レフがデジタルの小型センサーで暗礁に乗り上げている一方で、ミラーレスは大進歩が進んでいる。

EVファインダーの精細度は肉眼で確認できる限界まで精細化できるし、明るさは発光体のパワー次第。拡大だって自在だ。

ノイズもかなり減ってきて、覗いてそれがEVFだと気づかないものも続々と出てきた。つまり、プロセッサーと、(センサーおよびモニター)板の狭線化が進めば進むほど高速処理と開口率の向上が出来て、あとは電力で補うのだから、光学式が幾ら頑張っても追いつかないレベルまで進歩する事だろう。

僕の予想では、一部の報道カメラ以外は全部ミラーレスになる時代はそう先の事ではない。多分あと数年から10年程度で、メインストリームのコンスーマーカメラはミラーレスになる。

Lumix G1、Olympus E-P1から何年の年月が経ったのか、多分6年やソコイラではないか。このたった数年で、ミラーレスは今正に一眼レフの性能を追い越そうという勢いに見える。あと、何年で、それが達成できるか・・・。

問題は、回路プロセスルールの狭線化と高速化だけに掛かっている。あと10年で一桁ナノのプロセスルールが確立した暁には、間違いなく高画素、高ダイナミックレンジ、高速反応性のミラーレスが当たり前になるのではないか。
もう少しの辛抱だ。
(とは云え現在のミラーレスが一眼レフを総合的に凌駕しているとは思わないが・・・)

それまでは、生きて、この目で見てみたい。

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Comments

IBMが7nmのプロセスルールの半導体の試作に成功してるそうで
http://www.businessnewsline.com/news/201507100252420000.html
これは来年か再来年には市場に出ると言われています

ただ10nmを切ると量子効果(トンネル効果)による絶縁体を透過する
リーク電流が増大するそうで4年くらい前は「無理」と断言する学者
さんやエンジニアもたくさんいましたが技術は無理を克服していくの
ですね

ただこの超微細プロセスルールをソニーやキャノンは導入できるのか
それだけの設備投資費用があるのかというお話もなくはないですが

Posted by: . | August 18, 2015 02:51

IBMの話は知りませんでした。
出来ないことではない。という事ですね。

現在のファウンドリの様子を見ていると、次の次の世代に量産化できるかもしれないという幹事でしょうか。
次の世代(10ナノ台半ば)はまもなくのはずですが、ここまでは凡そ多分は液浸でこなし、それ以上はeuvが必要になるはずですから、ハードルが高いし、量子漏れの問題もありますね。
ま、高次元実装で、集積度を上げるという手法もあり…分散処理することや、SONYの裏面照射のその一種といえばその一種に入るかもしれませんね。

Posted by: くーすけ太郎 | August 18, 2015 13:34

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