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April 07, 2016

写す理由

写真に熱中して50年以上が経過した。

何のために写真を写すのか・・・。

この言葉についてあまりか深く考えたことは無かった。ただ、写真データのストックは大変だという事を話題にしたところ、写真とはあまり縁のない人々の間では、「だって、そんなに見ることないでしょう」と怪訝に思われたようだった。

最近このエピソードをふと思い出して、納得した。

世の多くの人は、写真といえば記念写真の事を示すので、自分が身内、仲間で見る物だ・・・という実態、そして真実。

だから、今世紀に入って世の中、デジカメブームが起こって、猛烈な勢いでカメラは買われているが、この殆どは、自分で見る為のカメラだったんだと・・・。

そうか、自分が変なのだと気づいた。

僕は既に自分の生まれてからの記念写真アルバムの全てを廃棄してしまった。卒業アルバムも卒業証書も全部・・・。
自分の思い出は自分だけの物であり、自分がこの世の中からいなくなったら、当然それは紙屑になってしまう。家族が懐かしむかもしれないけど、その家族も必ずこの世の中からいなくなる。ただし、自分が写した膨大なネガは整理してあったので、此方は保存してある。

歴史的価値があるだろうという意見の人は、幸せなマインドの持ち主だ。世の殆どの人は居なくなれば、何れ完全に人々の記憶から消し去られ、閉鎖戸籍以外にその存在した証拠が無くなる。つまり、我々の殆どの人は何れ完全にこの世に痕跡を残さずに消えてしまう。

家族が記念アルバムをずっと取っておいて、懐かしむだろうというのは単なる幻想であり。子孫がそのアルバム(プリント)をずっと保管してくれるだろう、なんて思うのは、勘違い以外の何物でもない。子供にとって、親の写真なんて、一枚あれば十分だ。

僕は9歳で写真機をゲットした幸運な少年だったけど、その目的は学芸会の様な所で、写真を発表する事だったの。つまり、写真機を始めて触った時から僕にとっての写真とは人に見せるためのものだと信じてきた。こういうのって、相当珍しいのかもしれない。

人に見せるために写す。これが、写真という不思議な媒体の生命の様な気がする。
何のために人に見せるのか、これが問題だ。
売って見せるという目的も存在が、僕の場合は、人が感動する様な写真を写して、作って、見せたい。なかなか出来ないけど・・・。それが目的なような気がする。画が描ければ画を描きたいが、それが敵ないので、カメラとPCを使っているんだと思う。

そして、その写真が何時の日にか価値があると認められて、社会のどこかで価値ありと認められ、組織的に保存してくれれば、貴方の作品はほゞ無限の生命を得ることになる。このハードルは結構高い。高いからこそ、残りの人生を全部捧げる価値がある・・・僕はそう思う。

ただし、この方略の最大の欠点は、「敵を知って、己を知らば、百戦これ危うし」という状態であるにもかかわらず、暗愚な判断で始めてしまう場合だろうか。まあ、そういう場合は、大きくため息をつきながら死んでいくんだろうなぁ、と思う。

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Comments

>世の多くの人は、写真といえば記念写真の事を示すので
実は既にこの意見は世代によって違うようなのです
もちろん記念写真も撮られますがパパさんママさんは絶えずスマホで
子供のありとあらゆるシーンを撮りまくるのです

またツイッターにしろインスタグラムにしろ写真を貼るSNSは数多存在し
朝昼晩の食事や綺麗な物や変な物ありとあらゆる全てを世界中に向け公開し
時に逆光で撮った服の色が何色に見えるかなどが世界中で話題なる
ご時世でもあるのです

当然スマホの8Mp程度とはいえそれほどのべつ幕無しに写真を撮れば
データ量も半端ではありませんが最近ではクラウド型の無料ストレージが
幾種類も存在し撮ったその場でアップロードされその中から選んで
SNSに公開するのが流行っているようです
そうオスカー・バルナックが夢見た何時でも持ち歩け枚数を気にせず
撮りまくる世界は実現していたのです

いつでもどこでも野暮ったい一眼レフを持ち歩きSNSなぞついぞやらない
俺のようなロートルは隔世の感を感じずにはいられません

Posted by: . | April 07, 2016 at 05:10

たしかにそうですね。
メディアの革命によって、個がパブリックと直接肌を合わせる時代…、パラダイムが変わってしまったんですね。
大変参考になりました。

Posted by: くーすけ太郎 | April 07, 2016 at 11:55

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