« フィッシュアイ…朦朧と過ごした一日 | Main | SIGMA MC-11はシグマSA用よりもCanon EF用の方が出来が良い? »

June 02, 2016

SONY α6300は何故裏面照射を採用しなかったのだろうか

SONY α6300はソニーが発表した本格的一眼の最新版だと思う。メニューヒエラルキーも明らかにα7系よりも進歩していて、マイメニューなどNikon 上級機並みの使い易さを提供している。
カメラ自体の工作も良くできていて、非常に精悍な姿はSONY Eマウントのトップエンドα7RIIなどと共通の質感を提供している。

このカメラとキャノンEOS Kiss X7とは図体が似通っているのだが、対極を成す名機2台という印象が強い。

キャノンは価格もSONYの1/3程度でかなり色々な物がそろうし、キットレンズや、センカドレンズも極めて立派で、ニコンのエントリー機よりも玄人好みのお買い得感が強い。(エントリー玄人の意味)

一方、SONY α6300はKiss X7と同程度の取回しという意味で漸くミラーレスが追いついた程度ではあるが、高速連射や素晴らしいAF精度などAPS-C Eマウントのフラグシップと呼んでも良い程洗練度が高い。

どちらが良いかは、使い手の玄人さばきの程度や、スノッブ野郎かどうかの程度によって好みが分かれるだろう。

ただし、ここで重大な違いがあることは予て触れてきた。SONYはあまりにも筐体を小さく綺麗に作り過ぎたために、レンズが小さすぎるのかもしれない。なにしろフランジバックが18mmとライカよりもさらに5mm程度も短い世界最小のフランジバックカメラだろう。もちろんソニーはこのフランジ面に焦点主点が来るような設計はしている筈はなくて、所詮デジタルなのだから、どうせレンズはテレセントリック的とたかをくくったんだろう、そして、狭フランジバックであれば、殆どのレンズが付いてしまうという誘惑をもつようなユーザーを虜に出来ると踏んだのだろう。

この予想は大当たりで、何と暴れ馬・シグマが2種類ものフルコパチ・マウントアダプターを提供するまでになった。手動式や他社の接点付など、もっとも応用可能性が高いマウントであることは既に実績として出つつある。

ニコンFマウントのカメラがどんなに使い易くて良いカメラも他社レンズが付かないのとは真逆の状況をSONYは敢えて作り出した。
フォーサーズでも同じようなことが出来るけど、フォーサーズはレンズの中心しか使わないので、ま、それが狙いとはいえ、ちょっと苦しくなってくる。

何れにしても、SONY E(FEを含む)マウントは注目のマウントだ。

で、ここからは少し話が昔語りから入らないと、何を言いたいのは分からないはずだ。
数年前、α7系が発売されたとき、僕はそれまでのライカM崇拝心を改めて、SONY実存主義でいこうと思った。
特にα7RはNikon D800Eに供給しているセンサーと同系列の物を使用しているらしく、非常に写りが良いカメラだった。その水準はクラス中で時代随一であったと思う。ただし、知らなかった欠点も出てきた。あまりにバックフォーカスを短くできるので、古いライカ用広角が装着できるものの、周辺に色むらが出るというまるで想像もしていなかったことが起った。

この問題についてSONYはカメラ用補正アプリを1000円で売り出したが・・・使いにくいもので、僕は使うのをあきらめた。今思えば、Lightroom CCの円形マスクでグラデーションを使いながら色偏差を簡単に補正できるのだが、その時代僕はLightroomを使ってなかった。

なにしろこういう変な事が起こるのはシグマの専売特許ぐらいにしか思っていなかったので考えていなかったけど、ライカM8がAPSフォーマットだったことなど、其れらしい匂いはしていた。
この問題への解決法は2つある。センサー面のマイクロレンズを中央よりに偏芯させる技法。現在ではマイクロレンズの整形は熱ではなくて、エッチングが使えるはずなので、あとは最適角を決めてやるだけだ・・・でも、これは全てのレンズに最適になる角度は存在しないので、適当にやるしかなくなる。ライカはどうもこれで乗り切っているらしい。

第二の根本的対策は、α7RIIで成功した、裏面照射を採用し、ついでにマイクロレンズも偏芯させる。これでほぼフィルム並みの扱いが出来るようになった。
僕はこれの恩恵を沢山受けてきた。だって、D800EにライカMのレンズをぶち込む人はまず、かなり少ないけど、α7ならば皆やりたがる。僕はVoigtlader SWH15/4.5が使えるようになって感動した。

同じ思想でいくと、更に狭ピッチ化したα6300は裏面照射センサーを使ってほしかった。別にサードパーティーレンズを付けたいからではない。
このカメラに大きなズームが似合わないからだ。

大きなカメラだったら、大きなズームは性能か良いのだといわれて信じて使う。でも、小さなカメラに大きなズームはちょっと要らない。

α6300では伝統的に沈胴式標準ズームで乗り切ろうとしているのだろうけど、この出来が良くない。つまり、テレセンが強く要求されているのに、レンズは小さくしている。矛盾が収差となって顕在化している。

僕の気持ちとしては、α6300は裏面照射を採用して、小さなズームレンズを開発すべきだったと思っている。
裏面照射の大きいのは歩留り悪そうなので・・・高価になり過ぎるということなのかなぁ。

デジタルの悪い所は「裏面照射でないこと」が第一の弱点だ。
其のために、コンパクトデジタルカメラではセンサー面が物凄く小さい割にレンズが巨大化しているのが当たり前だった。
フォーサーズの信じられない程大きなレンズを見た時、これはフルサイズ用かと思ったほどだったし、現行のフルサイズカメラも結構巨大だ、ついにニコンの24-70/2.8GVRは1キロを超えてしまって、300/4Eよりも大きくて重いレンズだ。

でも、パックフォーカスをどれ程取ればよいのかによっては、標準系で小さなレンズがつくる。フィルムの時代と同じように考えれば、Eマウント用のレンズは結構小さく作れても良さそうなんだけど、裏面照射でなければ、そうも行かない。
その選択を6300がしなかったのは、やはりコスト故ではないかと思うのだが・・・。

この辺りを考えてみると、SONYはAPS-CのEマウントのレンズには力が入っていないという見方が出来る。A7という稼ぎ頭がいるから、こっちは安く大衆向けに作って、レンズも適当に・・・という事のように思えてならない。NIKONのDXシリーズも似たような感じがしていた。のだが、SONYもそうだったのだろうか。

|

« フィッシュアイ…朦朧と過ごした一日 | Main | SIGMA MC-11はシグマSA用よりもCanon EF用の方が出来が良い? »

camera science」カテゴリの記事

SONY α6300」カテゴリの記事

Comments

>僕の気持ちとしては、α6300は裏面照射を採用して、小さなズームレンズを開発すべきだったと思っている
>デジタルの悪い所は「裏面照射でないこと」が第一の弱点だ

これはその通りですがそれだけでもありましません
たとえ新型の裏面照射の歩留まりと更に性能が向上しより安価にAPS-C
サイズも作れるようになってカメラに搭載されたとしてもノンテレ
セントリックなレンズは作るわけにはいきませんし許されないでしょう

もし作ってしまえば旧型機のユーザーは切り捨てられたということと
等しくなってしまうからです
極端に後玉の出た超広角レンズはm4/3ですら周辺にマゼンタ被りが
現れます
同一マウントなのに新型センサーだけ正常に描写されるようなレンズは
さすがにすぐには出せないでしょう(裏面照射センサーが普及し何世代も
それを搭載されたカメラが得まわった頃なら古いボディの心配もそれ程
必要はないでしょうが)

>この辺りを考えてみると、SONYはAPS-CのEマウントのレンズには力が入っていないという見方が出来る

最近はFEレンズばかり作られて高価なレンズばかりでしょんぼりしている
貧乏写真趣味の方々も多いようですね(俺はソニーのボディは持って
ないので幸か不幸か対岸の火事ですが)

Posted by: . | June 03, 2016 03:22

そういわれれば、そのとおりですね。
ボクが困っていたのは古いライカマウントのレンズでした。
でも、テレセンは解像力は高くなる傾向があるものの、とにかくでかいし重いんですよね。

Posted by: くーすけ太郎 | June 03, 2016 10:27

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« フィッシュアイ…朦朧と過ごした一日 | Main | SIGMA MC-11はシグマSA用よりもCanon EF用の方が出来が良い? »