SIGMA SD Quatrro 使用記 2
SIGMA X3センサーの色が好きだった。特にDP-1/DP-2の初代は色が転びやすく、非常に難しいセンサーだったのだが、その転び加減が逆に幸いして、シグマは緑色を抑える味付けを施していたのではないかと思う。
この謎は長らく謎のママ、僕はそのシグマ色に魅了され続けた。
(後年、この謎についてつらつら考えた。多分シグマ初期のX3センサーは赤のダイナミックレンジ及び感度が乏しかった。赤のゲインを稼ぐとすぐに飽和する上に、緑との調和がおかしくなる。で、結果として赤飽和を抑える方向にチューンすると緑のゲインも抑えられる・・・ということなのかもしれない)
デジタルカメラの欠点その1は、緑色の再現だ。多くのカメラでは緑はあくまで緑で華やかに演色するのだけれど、これがデジタルの違和感の一つでもある。
一般論として、デジタルカメラの嫌な臭いの原因はシャープ過ぎる(レンズがシャープ、高感度が原因してシャープ、センサーがシャープ等)ということもあるけど、演色は華やかで、特に植物の緑色が安っぽく華やかになってしまうことが大きい。
そうこうしてたどり着いたのが、多色調整できる現像ソフトで、緑色系の彩度を下げると古いシグマの色に似てくることに気づいた。
シグマの謎はその時、ある程度解決できたと思っていた。
ところが、メリル以降のシグマのカメラでは、緑色が豊かで一般のカメラとよく似た色合いになってしまった。これが、僕がシグマをあまり使わなくなった理由の一つでもある。もう一つはSD1のAFが難しくて、使い辛いことも有ったのではあるが。
今回のSD Qも色相としては新シグマの色になっている。そこでまずやったのが、カメラのピクチャーコントロール(これはニコン用語か?)をスタンダードではなくて、ニュートラルにすること。それによって、コントラストも抑えられるし演色も穏やかになる。
あとは、SPPで16btsTiffに現像し、Photoshopなり、Lightroomに移行すればよい。そうして、手慣れた演色をすれば、好きなように出来上がる。
(16bit Tiffは完璧なフォーマットであり、Photshopの専用フォーマットであるPSDとも互換性があるのだが、とにかくファイルサイズがデカい。SD Quatrroの場合は、一枚110メガバイトを超える巨大なファイルになるので、安易に全部変換すると、猛烈な時間が掛かるうえに、ストレージの消費が激しい・・・この点については運用方法を良く考えることが必要だろう)
シグマのセンサーは豊富な光が必要なので、今回新発売のストロボ・EF-630を増設した。
作例はISO160 、EF-630、レンズは70mm F/2.8 DG Macro EX (MFで使用)だ。